
今週の中央競馬が一転して中止となった。36年ぶりに馬インフルエンザの感染が発覚。前日の16日に1度は開催実施を発表したJRAだが、出走馬の一部(163頭)について検査を行った結果、凱旋門賞を目指すメイショウサムソン(牡4、栗東・高橋成)など29頭から陽性反応が出た。17日に再協議を行った結果、18日と19日の開催中止が決定。馬インフルエンザによる中止は71〜72年以来2度目で、主催者の不手際が目立つ結果となった。
一転の中止決定だった。JRAは午前9時半、「馬インフルエンザの感染拡大を防止する観点から」として18、19日の札幌、新潟、小倉競馬の開催取りやめを発表した。前日16日に「ワクチン接種が徹底されている現在、爆発的な感染は考えられない」と実施を決めたばかり。わずか18時間で180度の転換だ。
前日の説明会では「レース開催に甚大な影響はない」と公言しており、結果的にはJRAの見通しが甘かったことになる。午後2時から行われた記者会見の冒頭、斉藤茂広報担当理事は「今週の競馬を楽しみにしていた皆さんや関係者に対し、主催者としてまずはおわびしたい」と語った。
拡大はないという予測に反し、実際には感染は広がっていた。出走馬が確定した16日午後5時すぎから、美浦、栗東の両トレセン、函館競馬場で出走馬に検査を実施。土日3場の合計出走馬は969頭いたが、検査器材の数に限りがあるため、(1)発熱した馬がいる厩舎(2)ウイルス陽性の馬がいる厩舎の馬を優先し、163頭を抽出。インフルエンザ検査用の簡易キットを用いたところ、新たに合計29頭(美浦19頭、栗東1頭、函館9頭)に陽性反応が見られた。前日16日に発表された20頭と合わせ、陽性とされた馬は49頭まで膨れ上がっている。
29頭のうち発熱している馬は1頭しかおらず、残り28頭は「ウイルスは保有しているが、健康状態には問題ない」(佐藤浩二常務理事)という。通常なら出走に問題ないコンディションだが、それらを他馬と接触させることでウイルス感染が拡大する可能性は増大する。17日午前8時、副理事長以下による緊急の対策会議を開き、中止を決定。美浦では翌日の開催のため、多くの馬が新潟競馬場へ向け出発した後だった。
ファンにとって何より気になるのは今後の競馬開催の行方だろう。中止は1週だけなのか? それとも長期間に及ぶのか? 佐藤常務理事は「何よりも沈静化に向けて努力していくのが第1」の発言を繰り返し、時期や見通しについては明言を避けたが、19日には次週の特別登録を実施する。あくまで通常通りの開催準備を進めていく方針だ。
今後は92年に香港で流行した際のデータなどを参考にしながら、1頭ずつの全頭検査ではなく、疫学上の調査方法で原因を探っていく。「人の風邪と一緒で、ある程度の期間がたてば治るし、治れば問題ない」(仁岸正之馬事部長)。ただ、香港では終息までに2カ月を要している。「当時よりも検査体制は発達している」(同部長)というが、感染源も感染ルートも把握できていない現状では、来週の開催も微妙な状況下にあることは変わりない。秋競馬の開幕も迫ってきた。1日も早く収まることを願っているのは、すべての競馬ファンの思いだろう。